ビールの泡の科学

序章

今日もお仕事お疲れさまでした!

私は翌日仕事がない日はお酒を飲む習慣があるので今日も飲みたいと思います。

今日飲もうと思っているのはこちらです。

数年前に流行ったジョッキ缶です。

今では店頭に並ぶようになったので、すぐに買うことができました!

早速飲んでいきたいと思います。

開けたとたんに泡があふれてきました!(驚いてこぼしてしまいました。)

では、さっそく…いただきます。ゴクッ

苦っ!!!

調子に乗ってビール飲みましたが、あまり得意でないの忘れていました。

お酒はよく甘いのを飲んでいます。ビールがお好きな人すいません。

リンクをつけておくので勘弁してください。

Amazon.co.jp

茶番はこれくらいにして、ビールを開けると泡の層ができるのってすごく不思議な現象ではないですか?

この記事では、

  • ビールに泡の層ができる仕組み
  • 生ジョッキ缶の考察
  • 他の方法で泡を出す実験

の流れでビールの泡の仕組みについて述べていきたいと思います。

それではよろしくお願いします!

ビールに泡の層ができる仕組み

ビールは、大麦ホップ(ビールの風味をつけるもの)その他材料(香辛料など)の原料から作られます。

他のお酒と同様に大麦が発芽した麦芽ビール酵母によりアルコール発酵させてつくる手法が一般的です。

アルコール発酵ということで化学式では以下のような反応により進行します。

C6H12O6 → 2C2H5OH + 2CO2

この式で重要になってくるのがCO2(二酸化炭素)です。

このCO2がガスとして発生して、泡になります

ただ、CO2がガスとして発生するだけでは泡の層はできません。

そこでこんな実験をしてみました。

ビールが入っていた生ジョッキ缶の缶にコーラを入れてみました。それが下の写真になります。

泡がよく立つし、入れた後もずっとシュワシュワしてて
この缶本当にすごい!

個人の感想はここまでにして、実際に泡は立っていますが、ビールのようになりません。

泡の層ができるもう一つの重要な要素は、ビールの表面状態です。

ビールの原料であるホップには、イソフムロンという物質が含まれています。

ビール中の起泡タンパクとイソフムロンが水素結合により複合体(巨大な分子)を形成します。

この複合体がビール中から発生したCO2を取り囲み安定化します。

その結果、ビールの泡が割れずにとどまり泡の層ができるといった仕組みになります。

麒麟麦酒(株)総合研究所の記事を参考にしているので、こちらもご覧ください。

生ジョッキ缶の考察

続いて、すごい生ジョッキ缶について考察してみます。

おそらく生ジョッキ缶の最大の特徴は、缶内部にあると推察されます。

生ジョッキ缶の表面にはマントル状の凹凸が存在します(特開2021-80014)。

この缶にビールを封入した際にマントル状の構造の中に空気がとどまります。

これが缶を開けた後、缶を持っているとマントル状の構造の中から泡が放出されるという流れで泡がでているのだと考察します。

内部の人間ではなく、詳しいことはわからないので、あくまでも想像の範疇の話です。

(正直、ビールも泡が立ちやすいようになっているような気が…)

岡山理科大の光藤裕之教授が書かれているビールの泡の備前焼コップも参考にしております。

合わせて確認してみてください。

他の方法で泡を出す実験

他のやり方でビールの泡を出す方法の一つにビールの中に塩を入れることがあります。

詳しくは、名探偵コナンの685話「泡と湯気と煙(後編)」をご覧ください。

Bitly

この話を見ていて、ふと疑問に思いました。

塩じゃなきゃダメなの?
他のものだと泡出ないの?

ということで、このような実験を企画しました。

第1回 ビールの泡は塩でしか出ないのか

今回使用する材料はこちらです。

左から、岩塩、味の素、一味唐辛子、ブラックペッパーです。

どこの家庭にもありそうな調味料を選びました。

またビールは生ジョッキ缶にちなんでアサヒスーパードライを選びました。

条件は、上の写真のように泡がほとんどなくなった状態で調味料を投入するとします。

まず、1つ目は岩塩です。

主成分は塩化ナトリウムで、構造はランダムです。

一応、参考のためいれておきました。

結果は以下のようになりました。

左が岩塩を入れる前、右が入れた後になります。

まあ、結果通りですね。

泡が激しくでています。

実験で大事なのは、得られた結果から仮説を立てることです。

この結果から、泡が発生する理由として以下の二つが考えられます。

  1. 岩塩がビール中に溶け出して、液体中に溶けているCO2を押し出している。
  2. 岩塩の結晶が、ビール中に溶けているCO2の排出源になっている。

仮説を証明するために実験を進めていきます。

2つめは、味の素です。

うまみをつける調味料で、主成分はグルタミン酸ナトリウム、形状は針状の結晶です。

結果はいかのようになりました。

こちらも泡が激しく出ています。

どちらかというと岩塩のほうが泡が多く出ているように見えます。

グルタミン酸ナトリウムもビールに溶けるので、1番の仮説が怪しくなってきます。

グルタミン酸ナトリウムの構造式はwikipediaをリンクしておきますので、そちらを参照ください。

3つ目は一味唐辛子です。

唐辛子をすりつぶしたもので、辛味成分であるカプサイシン類を含んでいます。

結果は以下のようになりました。

そもそもビール中に落ちてくれません。

ビール中に浮いちゃってます。仕方がないので箸で混ぜました。

全く泡が立ちません…箸で混ぜると泡が立つはずなのに…

これはおそらく、唐辛子中のカプサイシンがアルコールに溶けて、ビール中の界面活性剤の効果をなくしてしまったことが原因であると考えられます。

カプサイシンもリンクをつけておきます。

実験にはこういうのもつきものです。面白いですね。

4つ目は、ブラックペッパーです。

完熟前のコショウの実を乾燥させてすりつぶしたものであり、ピペリンとシャビシンが辛み成分の元です。

結果は以下のようになりました。

これもビールの中に落ちてくれません。

と思っていたら、時間差で落ちて泡が立ちました。

この結果から、わかることとして

ブラックペッパーはビールの中に溶けずに残っているため1ではなく2の仮説が合っていそうだとなります。

この結果から、ビールの泡をたくさん出すためには

  • ビールの中に落ちる
  • 入れるものの構造

が重要であると考えられます。

まとめ

今回は、ビールの泡について考えていきました。

調べれば調べるほど、生ジョッキ缶のすばらしさを感じます。

これを作られた方々は本当に苦労を重ねられたのだろうと容易に想像できます。

日本のものづくりはすごいし、私も頑張らなくてはと思わされます。

また、実験ですが是非自由研究などのベースに使ってもらえたら嬉しいです。

大事なのは、何か一つ実験を追加すること。

それが考えを深める材料になります。

面白い実験を考えて実行し、その結果を教えてもらえると自分も嬉しいです。

以上です。ありがとうございました。

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